施工管理アプリを入れたのに、現場が使わない。しばらくすると LINE と手書きの表に戻っている。よくある説明は「現場のITリテラシーが低いから」ですが、実際に起きていることは違います。日報の出しっぱなしを 33件から2件にした現場で、何を変えたのかを書きます。
「使ってくれない」の中身を分解する
使われないアプリには、だいたい同じ3つが揃っています。どれも現場の能力の問題ではなく、アプリ側の作りの問題です。
1. 文字を打たせている
職人はスマートフォンで長文を打ちません。手が汚れていて、日が暮れていて、次の現場が待っています。自由記述の欄が3つあれば、その日報は出ません。
2. 同じことを2回入れさせている
チャットで報告したのに、アプリにも入れる。アプリに入れたのに、事務が集計表に転記する。二重入力は「使いにくい」のではなく「無駄だと分かる」から使われなくなります。一度でも「これ、さっき送ったやつだよな」と思われたら、次から入らなくなります。
3. 催促を人がやっている
出ていない日報を、事務が電話で追いかける。これが常態化すると、現場は「出さなくても電話が来るから大丈夫」を学習します。催促が人力である限り、提出率は上がりません。
何を変えたか
愛知県の住宅設備・太陽光施工会社さま(施工店およそ50社・月500件規模)で、この3つをそれぞれ潰しました。
| 元の状態 | 変えたこと |
|---|---|
| 日報に文字を打たせていた | 「終了/後日」を選んで写真を撮るだけにした。文字入力はほぼ不要 |
| チャットとアプリに二重入力 | 案件・日報・見積・請求を同じ中に置き、入れ直しを無くした |
| 未提出を事務が電話で催促 | 催促を自動で出すようにした |
結果
33 → 2件(日報の出しっぱなし・導入1週間で)
提出率を上げるための研修も、ルールの通達もしていません。出すのにかかる手数を減らしただけです。
あわせて、催促にかかっていた事務の時間も消えました。
| 手でやっていた事務 | 減った時間 / 月 |
|---|---|
| 日報未提出の催促 | 25.2 時間 |
| 現場 IN 未報告の催促 | 18.9 時間 |
| 日報の集計表づくり | 15.0 時間 |
この3つだけで 月 59.1 時間。事務ひとり分を月160時間とすると、おおよそ0.37人分にあたります。全体では月 239.2 時間が手から離れました。
導入するときに、先に決めておくとよいこと
アプリを変えるかどうかにかかわらず、次の3つは先に決めておくと定着が変わります。
- 現場が入力するのは何かを、3つ以内に絞る。多いほど出なくなります
- 催促を人がやらないと決める。人がやる前提だと、仕組みを作らないまま運用が始まります
- 事務の転記が残っていないかを、導入の翌月に一度だけ数える。残っていれば、そこが繋がっていません
まとめ
現場が使わない理由は、たいてい「使う手数が、やらない手数より多い」という一点に集約されます。研修を増やしても手数は減りません。減らすのは仕組みの側です。